シニア・コミュニティ 2019年3・4月号・118号

【特集】成年後見制度の現状と課題

〚巻頭インタビュー〛 日本社会事業大学学長 東京大学名誉教授 神野直彦 氏
 ■ 経済学から考える人間の幸福とは ― すべては悲しみを分かち合うことから始まる

 ◎分断され始めた人間の絆  今、誰もが感じているように、歴史が大きく変わろうとしています。行き詰っていると言いますか、方向性を見失っていると思うのです。私は70数年生きていますが、未来の社会がどうなっているか想像できなくなっているのは初めての経験ですね。高度成長をしている時であろうと、それが終わった時であろうと、自分たちの生活がどんな風になっていくかはある程度見えていた。それが幻想であったとしても…。ところが、今は見えなくなっている。そのことが非常に不安な状態を作り上げていると思います。

〚特集・インタビュー〛 公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート 専務理事 司法書士 西川浩之 氏
 ■ 早い段階からの支援が、後見人を頼れる存在にする

成年後見制度が始まって間もなく20 年になろうとしている。「家の財産を守る」ことを目的としたかつての禁治産・準禁治産制度から、本人の自己決定を尊重しようとする今の制度へ。何が変わり、何が変わらないのか。司法書士の視点から現状と課題を見る。

〚特集・インタビュー〛 弁護士 介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡 潤 氏
 ■ 後見人への白紙委任から意志を尊重する本人中心主義へ

成年後見制度は後見人にとっても、制度を使う被後見人にとっても「使い勝手が悪い」と思われているのではないか。使い方を誤ることで、本来であれば支援となる制度も“怖い”制度になりかねないと、弁護士の外岡潤氏は言う。超高齢社会であり、格差社会が予測されるからこそ必要とされる成年後見制度を共に考えたい。

〚特集・インタビュー〛 酒井優司法書士事務所 司法書士 酒井 優 氏
 ■ 利用者の意思を最大限に尊重する支援へ大きく流れが変わろうとしている成年後見制度

成年後見制度の流れが大きく変わろうとしている。その中で大きな役割を果たすのが、専門職後見人の多数を占める司法書士であることに間違いはない。後見人としての意識改革と同時に、制度そのものの利用促進に向けた見直しが急務だと言う。身上保護の重要性を強調する司法書士・酒井優氏に「後見の現場」を聞く。

〚特集・インタビュー〛 服部メディカル研究所 所長 服部万里子 氏
 ■ 人が生きるプロセスにどう向き合うか制度の枠の中だけでは支援できない後見

看護師であり社会福祉士、主任介護支援専門員である服部真理子氏は、高齢者に対するあらゆる援助を惜しまない。金銭管理はするものの身上監護に不安がある中で、人が人生を生き抜くに当たって直面する場面に、成年後見制度はどこまで寄り添うことができるのか。

〚特集・寄稿〛 社会福祉士 越川文雄 氏
 ■ アメリカにおける後見改革の動向(一部抜粋)

 米国は2006 年に採択された『国連障害者権利条約』(以下「権利条約」)に署名したが、国連イニシャティブに対する伝統的な反発等のために上院の賛成が得られず、批准を見送っている。この条約の柱のひとつである「後見改革」への取り組みは、1989 年のAP通信の報道を契機にすでに本格化していたが、権利条約が米国の目指す方向に沿うことから、改革の動きをさらに強めている。
 後見について、米国には『制約最小限の後見代替原則』がある。それは、「公権力は本人の健康、福祉に必要なもののみに限定し、かつ個人の権利に最小限度介入する」というものである。

〚新シリーズ《地域と共生社会》・インタビュー〛
   株式会社さくらコミュニティーケアサービス 代表取締役 稲田秀樹 氏
 ■ 地域を一本のオレンジラインで繋げる

 ◎人が集まり、何かが始まる  私がこの世界に入ったのは介護保険制度が始まった2000年です。それまでは“物書き”修行をしていて、ひたすら「自分」に向き合っていました。それを10 年間やりましたが、それでは身体が持つはずがない。体調を崩した時にたまたま出会った医師に勧められて入ったのが、介護の世界です。当時、圧倒的に女性が多い職場でしたから最初は好奇の目で見られましたが、私自身はとても楽しかった。
 介護施設を経て、ここ鎌倉・今泉台にデイサービス「ケアサロンさくら」を開設したのは2011年7月ですが、それ以前から様々な形で地域との繋がりを深めていました。実は、・・・

[介護福祉道場あかい花発 masaの声] 菊地雅洋 北海道介護福祉道場 あかい花 代表
 ■ 介護事業者は休日増加にどう対応すべきか

 ◎無くしたい、勤務時間の格差  介護事業所に勤務する介護職員は、基本的には暦に関係なく働かねばならないが、土日・祝祭日に休める事務系職員と同じ数の休日が取れる環境であるならば良い。しかし介護事業者によっては事務系職員の年間勤務時間数と介護職員のそれが異なっている場合もあり、中には介護職員の方が少ないケースが見受けられる。実はこうした扱いは法令上では許されているのだ。

[介護の扉] 藤ヶ谷明子 ジャーナリスト
 ■ 友だちが“ 業界人”になっていた

 ■方言じゃなければ伝わらない?  山間部の小さな町に暮らす友人がいる。大学卒業後、2年余り東京で働いて故郷に戻って結婚。40歳でデイサービスに就職し、7年後に介護福祉士の資格を取得している。新年の挨拶を兼ねてと電話が来た。「最近、夜道の運転が怖いんだ。もう年だよね。この仕事を20 年間も続けられたのは爺ちゃん婆ちゃんが好きだから」と呑気に話す。来年は定年を迎えるが、再雇用で70歳まで頑張ると張り切っている。
 これまで仕事について深く尋ねたことはなかったが、密かに気になっていたことがある。いつの頃からか何気なく話題にする利用者との会話が「友だち言葉」、いわゆるタメ口なってきたのだ。

[弁護士直伝!介護トラブル解決塾Vol.43おかげさまです、外岡です] 外岡潤 弁護士 おかげさま 代表 
 ■ Q.退寮しない元職員を追い出したい

 2019 年は、特定技能を始めとする外国人労働者の増加、働き方改革や消費税増税に伴う新処遇改善加算など、「労働」を巡り大きな変化の年となりそうです。最近は嫌なことがあるとすぐ辞めてしまい、或いは人に迷惑をかけても罪悪感を持たない無責任な人が増えているようです。今回は、実際に顧問先で起きた厄介なケースをご紹介します。

[小島美里の日本の介護を考える] 小島美里 認定NPO法人暮らしネット・えん 代表理事
 ■ ボランティアから始まり、平成と共に歩んで30 年

 ◎障がいに向き合う  年末に公開された映画『こんな夜更けにバナナかよ』を観た。筋ジストロフィー患者鹿野靖明さんと介助ボランティアの物語である。障がい当事者と介助ボランティアとの関係はなかなか良く描かれていた。障がい者が主人公の映画に見られがちな「感動した!」タイプのものになっていなかったのが好もしい。排泄の失敗や性の問題もさりげなくユーモラスに組み込まれていた。以前にも書いた記憶があるが、我が暮らしネット・えんのそもそものスタートは全身性障がいがある二人の女性の介助ボランティアからだから、なおさらこの映画には親しみを感じる。

[山谷クロニカル(10)] 甘利てる代 介護福祉ジャーナリスト
 ■ 平成最後の正月の、ある日

 ◎イチゴのおすそ分け  2019 年が明けた。
 正月気分がまだ抜けきらない5日、山谷に向かった。訪問看護ステーションコスモス(東京都台東区・NPO 法人訪問看護ステーションコスモス)が路上で生活する人たちのために開いているデイサービス「憩いの間」(通称、いこい)に行くのだ。天気は穏やかに晴れて、小春日和だ。
 いろは通りが見えて来た。シャッターが上がることのない店が並ぶこの通り。ほんの5 ヶ月前まではアーケードがあって、アーチ型の屋根が備わっていたから太陽の光が直接通りに届くことはなかったが、今は違う。どこか埃っぽいコンクリート道路が続いている。その通りで、閉まったシャッターに身を寄せるように、盛り上がった布団が見えた。

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税込価格 1,000円 + 税/定期購読(6冊分):6,000円(送料別)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2019年3月15日

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