シニア・コミュニティ 2016年9・10月号・103号

【特集】「ユニットケア」が目指すもの

≪巻頭インタビュー≫ 「ユニットケア」の推進を通して介護を“プロの仕事”にまで高める

一般社団法人日本ユニットケア推進センター センター長兼専務理事 秋葉都子氏 「家と同じ様に暮らす」という新しい概念―――
まず、日本ユニットケア推進センターが作られたいきさつからお話をしたいと思います。そもそも社会福祉法人浴風会にありました「認知症介護研究研修センター」が母体ですが、新しく制度化された「ユニットケア」についての研修を厚生労働省から受託したのが始まりです。それ以来8 年間にわたって浴風会が研修を行いましたが、想像以上に規模が大きくなったことから、独立して設立されたのが当法人です。認知症介護研究研修センターは認知症そのものに特化しており、主に認知症の人が対象になるとはいえ「ユニットケア」とは少し形態が違うということもありましたが…。

≪インタビュー≫ 「ユニットケア」は社会的な弱者への“思い”から始まった

株式会社LAU公共施設研究所 代表取締役 高橋公雄氏 社会的な弱者のために仕事をする。東京大学のある研究室で始まった思想は、東北大学へ広がり、やがて大きな人材の山脈となって社会を動かす。今は亡き外山義氏と共に特別養護老人ホームにおける「ユニットケア」を提唱し、斬新かつ思慮深い建築で新しい福祉の在り方を発信し続ける建築家の高橋公雄氏に「ユニットケア」の源流とその行方を聞いた。
当記事はインタビューを要約したものである。

≪インタビュー≫ ノーマライゼーションと暮らしを求めた先に「ユニットケア」のあるべき姿が見えてくる

社会福祉法人真寿会 副理事長兼介護老人福祉施設真寿園統括施設長 荻野光彦氏 理念はカタチになってこそ生きる―――
 私たち真寿園の理念は「老人にも明日がある」です。敬老、敬愛を持って高齢者に接する。これは昭和52年の施設開設以来変わりなく踏襲している理念です。そこには例え介護が必要になっても一日一日を大切に生き生きと過ごしてほしいという“思い”が込められています。そして、その“思い”はここ真寿園といテージでのケアを通して実現していく。先代の斉藤正男理事長はいつもこのように言っていました。「理念はいつでもそばに置いて、かみ砕いて、理解した上で、それを実現するのが仕事だ」と…。理念は飾り物ではない、カタチに見えるようにしなさい、ということです。平成14年、今の場所に移転するに当たって、理念をいま一歩進めるために実践したのが「ユニットケア」です。

[経営課題] 介護福祉道場あかい花発 masaの声 老健のターミナルケアを考える

菊地雅洋 北海道介護福祉道場あかい花 代表  介護報酬の「加算」は、介護給付費分科会で審議され決定されるが、審議会で議論される内容が議場で自然発生するわけではなく、事前に厚労省側の案が示された上で、その内容に沿って議論される。よってほぼすべての加算が国の意図と関連あると言ってよい。つまり加算の算定要件をスタンダードにすべきだという国側の意思がそこに働いていると見てよいわけである。さらにそこには、・・・

[経営課題] シリーズ・介護の扉 いつまで続く「自称・プロ集団」

利用中止の理由は小さな齟齬の積み重ね 自転車で少し遠出した買い物帰り。「猛暑日」一歩手前だったが、気分転換を兼ねて、いつものコースを変えてみた。ビルの前に大型ワゴン車。助手席の男性がはっきり見えた。眉間に皺を寄せ、困ったような、怒ったような表情だ。3台連なるデイの送迎車の先頭であった。車体に大きく書いてある名前を見て思い出した。ここは父が生前、数回だけ通ったことがあるデイだ。リハビリに力を入れていることを売りにしていた。 父は通うのを嫌がった。

[経営課題] 弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.29おかげさまです、外岡です!

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤  こんにちは、外岡です。前回に続き、事故で怪我をした利用者に対する未払い金の回収方法を取り上げる予定でしたが、去る7月26日、相模原の障害施設で19人が連続殺傷されるという、あってはならない悲惨な事件が起きてしまいました(相模原市障害者施設殺傷事件。以下本件ともいいます)。そこで今回は、緊急で本件の様な殺人者の侵入への対策を特集します。

[経営課題] シリーズ・小島美里と日本の介護を考える

誰も排除されない、排除しない社会を  7月26日、相模原市の「津久井やまゆり園」の入所者19人がいのちを奪われる事件があった。やりきれない思いの中で、どう考えたらよいのか、何ができるのか悩む日々である。
 異様で残虐な事件だから様々な意見や分析がある。私見というほどのものはないが、追悼の思いも込めて考えてみたい。
 容疑者は元介護職員だった。やまゆり園には4年間勤務していたという。4年という年月は決して短くないし、報道されているような差別感情を最初から持っていたのではないだろう。

[経営課題] 特別寄稿・組織をマネジメントする ―志望動機・道徳感情―

介護労働安定センター平成26年度調査では介護の仕事を選んだ理由として、「働きがいのある仕事(略)」が52.6%、「人や社会の役に立ちたい」が32.0%となっています。「仕事のやりがい」や「社会貢献」が主な志望動機になっています。この志望動機とはどのような感情(モチベーション)に拠るのでしょうか。その理解は、組織の抱える諸問題の解決に必要と考えます。
 1.介護職のモチベーションとは・・・・・  2.公正(フェア)であることとは・・・・・

[経営課題] シリーズ・施設探訪 なごみの家 (東京都江戸川区)

住民が気軽に集える福祉拠点を整備 地域のネットワークづくりを目指す 人口約69万人を抱える江戸川区は、子どもからお年寄りまで障害の有無にかかわらず、誰もが利用できる地域包括ケアシステムの拠点として「なごみの家」を開設した。区の補助を受けて運営するのは江戸川区社会福祉協議会。なんでも相談、誰でも集える交流の場、地域のネットワークづくりの3つの機能を持ち、地域の課題の解決に取り組んでいくという。

その他コンテンツ

[コラム]連載第42回 聖隷福祉事業団に学べ
[コラム]《老人たちの居場所》
[World News]連載第15回 イギリスのホームドクター、認知症ケア、ホスピスの実情を探る
[World News]連載第22回オランダの新しい介護事情を探る
プラネットが第2階研究大会を開催 福祉用具アワードに初の「三つ星」
税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2016年9月15日

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