シニア・コミュニティ 2016年1・2月号・99号

【特集】介護保険制度の15年を振り返る

[特集:巻頭インタビュー] 国民一人ひとりが「生きること」の意味を考えることから新しい日本の介護が始まる

淑徳大学総合福祉学部教授 結城康博氏 「15 年間でマイナスの方向に進みつつある介護保険制度」
 介護保険制度に対する評価と言うことですが、何よりもこの制度が出来たこと自体は大変良かったと思っています。特に、高齢化に伴い一人暮らしや老夫婦だけで暮らす高齢者が増え続ける中で、在宅介護が非常に推進されました。これひとつとっても高く評価できると思います。制度を作るに当たって苦心をされた多くの方々に、改めて敬意を表したい。
 しかし、制度が始まってからすでに15 年が経過していますから、出来たことの良し悪しというよりも、むしろこの間の介護保険制度の在り方について評価することの方が重要でしょう。

[新医療通信] 「地域包括ケア時代に求められる医療と介護の役割」を議論する

医療法人社団悠翔会×在宅医療カレッジ特別企画 医療法人社団悠翔会は12月10日、同法人が主催する在宅医療カレッジの特別企画として、都内千代田区の東京国際フォーラムで「地域包括ケア時代に求められる医療と介護の役割」と題したラウンドテーブルディスカッションを開催した。「患者中心のケア」「ケアの質と倫理」「持続可能性」をテーマにした3部構成。同法人の佐々木淳理事長がモデレータを務め、医療・介護分野の最前線で活躍する総勢10名のパネリストが熱い議論を展開した。

[経営課題] 現場発 施設長の声 財源がないというけれど

特別養護老人ホーム緑風園 総合施設長 菊地雅洋 湯水のごとくなされる財政支出乱暴ともいえる介護給付費の削減――――――――
 パリで行われた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、日本の安部総理大臣も演説を行った。その中で温暖化対策として、2020年までに官民合わせて負担費用を年間1 兆円から1兆3000億円に増額することを表明した。インドへの新幹線輸出に関連しては、1兆円もの円借款を行うとも言われている。事実上それは1兆円の財政支出である。
 国際貢献は大事だろうし、温暖化対策も海外への産業技術の輸出も重要だろう。しかしこうした国際会議や他国訪問のたびに、何兆円・何千億円という単位で国費が使われる状況を見ると、もっと内政にお金をかけることができるのではないかと思ってしまう。

[経営課題] シリーズ・介護の扉 家族をあやめる介護者増加の裏側で

母をあやめようと思ったのはいつか?  今日も家族介護者による殺人が報じられた。夫が寝たきりの妻の首を絞めたという。深夜、警察署に亡骸を乗せて自首したそうだ。少し前、両親を乗せて川に向かい、心中を図った事件が大きく報じられ、その直後には息子が認知症の疑いがあった母をあやめている。一時期、「自殺者年間3万人」の“モノサシ”として交通事故死亡者数が使われた。いずれ「介護殺人」がそれに取って代わるのではないかと案ずるのは極端にすぎるだろうか。

[経営課題] 弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.25おかげさまです、外岡です!

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤  明けましておめでとうございます。昨年はマイナンバー通知カードの交付で日本中が大騒ぎでしたが、いよいよ今月から介護保険の分野でも本格始動ですね。この問題も目が離せませんが、今回は「職員が刑事事件を起こす」という最悪の事態を敢えて想定してみましょう。

[経営課題] シリーズ・発掘 介護チャレンジャーを探せ!!vol.25

「在宅で最期まで」を支援するケアマネ アセスメントが大事――――――――
 広島県福山市鞆町鞆の浦。瀬戸内海のほぼ中央に位置したこの町の人口は約4000人。瀬戸内海の小さな湾を抱え込むように存在する町だ。すぐ目の前は海。江戸時代から昭和初期まで港町として繁栄したことを物語るように、町には古い町並みが続く。海への石畳の路地を右に折れると「鞆の浦・さくらホーム」(有限会社親和)がある。
 この町は、高齢化がすすむ町でもあり、約48%という高齢化率が示すように、お年寄りの数が多いことも特徴だ。
 2004年4月に、さくらホームはデイサービスとグループホームを開設。その後、敷地内に居宅介護支援事業所や小規模多機能型居宅介護といった事業を展開してきた。さらに...

[経営課題] シリーズ・施設探訪 銀木犀<西新井大師>(東京都足立区)

子どもたちが集まる駄菓子屋で自然と生まれる地域交流  「銀木犀<西新井大師>」は、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の激戦区といわれる東京都足立区に開設した。東武鉄道大師線終点の大師前駅と、正月に初詣客で賑わう西新井大師から徒歩約12分の住宅街。約122㎡の敷地に地上3階建て、総戸数48戸の建物は、いかづち公園と栗原中央公園の2 つの公園の中間に位置している。代表取締役の下河原忠道氏が現地を視察したとき、子どもが多い地域と見受けられたことから、駄菓子屋の併設を決めた。駄菓子屋は、2014年11月に既存のサ高住「銀木犀<鎌ヶ谷>」で先行的にオープンしており、子どもたちに大人気だという。

[経営課題] 仙台から「地域」を考える 介護報酬改定に一喜一憂することなく創意工夫で乗り切りたい

決め手は、高い稼働率にあり  昨年の1月に月以降のひと月当たりの介護報酬を19日稼働で330万円と予測していたが、ふたを開けてみると350万円の実績を残すことが出来た。厳しい結果を予測しながら、どうして予想を上回ることが出来たのか。少し検証をしてみたい。
 改定前の平成27年3月までの制度では、昨年度の実績(4月?翌年2月)で利用者がひと月平均600名(3?4時間の場合)を下回ることが小規模型の条件となっていたが、昨年4月の改定によって、本年4月からは定員18名以下の事業所が小規模となって地域密着型へ移行する。つまり...

[日本橋介護経営塾報告] 先進地スコットランドに学び 広く、深く「認知症ケア」のネットワークを作りたい

スコットランドの認知症ケアを支える4本の柱  スコットランドの認知症戦略の大きな特徴は、政府の一貫した戦略はもちろん、アルツハイマー協会、認知症当事者の会、認知症の人を支えるケアラーの会、そして認知症に関して研究する大学と、くまなく認知症ケアのネットワークが張り巡らされていることだろう。この点は我が国も大いに学ばなければならないのではないか。
① スコットランド・アルツハイマー協会
 スコットランド・アルツハイマー協会は1976 年に発足した。イングランドのアルツハイマー協会とは一線を画しており...

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税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2016年1月15日

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