シニア・コミュニティ 2015年7・8月号・96号

【特集】家族と介護を考える2

[特集:インタビュー]「息子介護」という新しい視点で見る介護と家族

東京都健康長寿医療センター 平山亮 氏 「息子介護が当たり前の時代がやって来る」
 本のタイトルをなぜ「息子介護の時代」としたかですが、これからは息子の介護が主流になるという意味ではありません。今までは介護の主な担い手になるとは考えられなかったですし、自分たちも考えもしなかった“息子”でさえも当事者として家族介護を担わざるを得ない時代になった、ということを言いたかったのです。これまではお嫁さんだったり娘さんだったり、介護は女性がするものだとされていた日本の介護ですが、今は性別とか続き柄に関わらず誰が介護を担ってもおかしくない時代、という意味でタイトルを「息子介護の時代」としました。

[特集:インタビュー]最後まで、生きるための支援 家族と一緒に看る意味はそこにある

有限会社ライフアート代表取締役  武田純子氏  私は「お年寄り一人ひとりを大切にするということはどういうことか」ということをずっと考えて来ました。今も考え続けています。これには終わりがありません。終わりのない“旅”に出てしまいました。この旅は途中で戻れないし、止められない。そんな中で、これからも必死でやらなければならないと思っています。

[Special Report]メッセージ橋本俊明会長に聞く 在宅老人ホーム「Zアミーユ」の可能性

株式会社メッセージ代表取締役会長  橋本俊明氏 「レスパイトケアではなくフルサービスを提供する」
 在宅老人ホーム「Z アミーユ」は、施設と同等のフルサービスをセールスポイントに掲げ、自宅で暮らす利用者に対して「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」「生活支援サービス」「緊急時対応」「食事提供・支援」をワンパッケージで提供する。利用料金は、要介護3 の利用者で1 日2 食を提供する場合、月額7 万4312 円(うち定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用者自己負担分が2 万4312円)からと廉価に設定されている。

[経営課題]現場発 施設長の声  日本創成会議の高齢者移住提言を検証する

特別養護老人ホーム緑風園 総合施設長 菊地雅洋 移住提言を大問題と捉えるのではなくポジティブな議論のきっかけに―――
 民間有識者でつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は6 月4 日、東京など1 都3 県で高齢化が進行し、介護施設が2025 年に13 万人分不足するとの推計結果をまとめた。そのため施設や人材面で医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41 地域を移住先の候補地として示した。それは「41 地域の魅力を高齢者の方に伝え、元気な時から移住することを提言していく」というものである。
 この提言に関しては、現代版楢山節考であるとか、人をものとしてしか見ていないとか、住み慣れない場所への移住は認知症発症リスクを増大させるとか、様々な批判の声が挙がっている。それらの批判に対し・・・

[経営課題]シリーズ・介護の扉 介護スタッフが支配者となる病棟ケア

幼児語・説明のない拘束・“ 無” 衛生  5 月の末に父が85 歳で他界した。2 月に母が旅立って間もないことで葬儀の際、多くの人から「60 年、連れ添った夫婦だから後を追った」と言われた。その慰めや労いを拒否するつもりはない。しかし、「その通り」とは思えない自分がいる。病院における介護の質はどうなっているのか。

[経営課題]弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.22おかげさまです、外岡です!

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤 現場はそう簡単に足を洗えない?―――
 老健の現場担当を8 年勤めてきた者です。資格は介福を持っており、正社員の立場で働いています。
 うちの施設は数年前に理事長が二代目に交代したのですが、全く現場に興味関心が無い様で、施設にも殆ど顔を出しません。その結果現場の規律が・・・

[経営課題]シリーズ・発掘 介護チャレンジャーを探せ!!vol.22

施設の直前まで津波が押し寄せた  2015 年5 月30 日。東日本大震災から4 年2 ヶ月を経て、仙台と石巻を結ぶJR 仙石線が全線再開した。仙台駅から石巻行きの電車に乗ると、鉄道マニアはもとより、復旧を待ち望んでいた市民が大勢乗車していた。
 仙台を出発して25 分後、松島湾沿いを走っていた電車は、陸前大塚駅を過ぎると左に弧を描くように進んで内陸に向かった。高台に移転したのは東名、野蒜の2 つの駅だ。
 この2 つの駅よりさらに石巻寄りにあるケアハウス「はまなすの里」(社会福祉法人ことぶき会・伊藤寿志施設長)の伊藤純子副施設長が今回の主人公だ。震災前、法人はケアハウスの他にデイサービス、ショートステイを運営。震災後にグループホームを開設した。震災から今日までのことを聞いた。

[経営課題]シリーズ・施設探訪 デイサービスサラ(東京都立川市)

高齢者同士が支え合う 地域の仕組みづくりに向けて レストランの開店からデイサービスの開設まで―――
 JR 中央線の国立駅または立川駅から路線バスに乗り継いで約15 分、けやき台団地に隣接する商店街に「デイサービスサラ」がある。運営するのはNPO 法人「高齢社会の食と職を考えるチャンプルーの会」。空き店舗が目立つこの同じ商店街に、「レストランサラ」「ひろばサラ」も運営している。
 チャンプルーの会は、1998 年に顔なじみの女性3 人が中心となって設立した。おいしく安全・安心な食事が提供できる場所を作り、そこが自分たちの仕事場となり居場所となるようにしたい。そうした思いから、公共施設の一室を借りて月1 回の食事会を開催し、高齢者の食事の好みと、地元に密着したレストラン経営の方法をリサーチしたという。そして賛同者から出資金を集める形で、1999 年に「レストランサラ」の開店までこぎつけた。

≪特別連載 第5回≫ 今後のプラネットに期待すること 福祉用具プランナーの更なる資格化を望む

公益財団法人テクノエイド協会 普及部長 寺光鉄雄氏  7 月に行われるプラネットの第1回研究大会には、「研究」という名前が付いておりますが、それはなぜでしょうか―――
 私が、この福祉用具分野の世界に入ったのが、昭和59 年(1984 年)の頃からですから、もうかれこれ、今年で30 年以上になります。
 当時の東京・飯田橋のセントラルプラザ内に日本初の東京都社会福祉協議会が委託を受けた福祉用具の展示ホールがあり、面積は、300㎡位でしたが、この場所が、JR飯田橋駅に隣接して、千葉や埼玉方面からの交通の便が大変良いことから、その頃で年間約3万人もの来場者がありました。
 これは、少子高齢社会が一層進行する中で・・・

≪経営塾報告≫ 介護の「質」が問われる戦国時代を、知恵で乗り切る

時代を直視する「経営塾」始まる! 東京日本橋横山町において、介護事業に関わる経営者を主な対象とした「第1回・経営塾」が開催された。元日本経済新聞編集委員の浅川澄一氏がジャーナリストの目線で鋭く日本の医療・介護の現状を切り、将来の流れを読み解く基調講演に続き、遠くは山口、大阪からの参加者による活発な意見交換が行われた。介護保険が始まって12年。度重なる改定を経てもなお、日本の福祉・介護の未来図が明確に見えてこないのはどうしたことか。大手企業も事業の柱のひとつとして本格的に乗りだそうとしているように、福祉・介護事業は大きな可能性を秘めている。自由な発想で「制度」の壁を乗り越える時代。新たにスタートを切った「経営塾」は、その突破口となることが期待される。

その他コンテンツ

[コラム]《仙台から「地域」を考える》介護報酬改定の“ その後” を、小規模多機能の現場に見る
[コラム]連載第35回 聖隷福祉事業団に学べ
[コラム]《老人たちの居場所》暴走老人自転車顛末記
[World News]連載第16回 オランダの新しい介護事情を探る
[World News]連載第9回 イギリスのホームドクター、認知症ケア、ホスピスの実情を探る
税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判60ページ
発行日 2015年7月15日

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