シニア・コミュニティ 2014年11・12月号・92号

【特集】認知症支援は新しい流れへ

[特集]≪インタビュー≫
社会全体で認知症の人のことを考えるために
「認知症に関する基本法」について議論することは有意義なことだと思う。

岡山大学客員教授、元厚生労働省老健局長 宮島俊彦氏 「認知症に関する基本法」について知っている人はどれほどいるだろうか。かといって、まだ法律が存在するわけではない。国の施策の方向性を示す「基本法」は多岐にわたっており、現在40 を超えるなかで認知症に関してもあってしかるべきではないかという意見が多く聞かれる。2025 年問題、人口減少社会を間近にして認知症は様々な面で社会問題にさえなろうとしているいま、いわゆる「認知症に関する基本法」の在り方を議論することで、社会全体が認知症に関心を向けることになれば、それはそれで有意義なことではないだろうか。元厚生労働省老健局長の宮島俊彦氏に「認知症に関する基本法」への考え方と、認知症の人へのサポートの在り方を聞いた。

[特集]「地域包括ケアシステム」は地域づくり、日常生活の基盤づくりが課題

聖隷クリストファー大学社会福祉学部・大学院社会福祉学研究科 太田貞司 氏 「地域包括ケアシステム」が動き始めている。これによって何が変わるのか。地域に課せられたものは何か。自治体が果たすべき役割は。そして、介護の現場で取り組むべき課題は何か。言葉だけは知っているが、その課題についての議論はまだまだ不十分だ。一貫して在宅ケアの在り方を追求し続ける太田貞司氏は、「地域包括ケアシステム」は地域づくりが課題だと述べる。少子高齢化が進み、人口の減少が迫る日本の置かれた現状からみて、地域で支える「地域包括ケアシステム」こそ、選択の余地のない進むべき道なのだろうか。介護に深く関わる私たちが一緒に考え、議論を深めるきっかけとしたい。

[特集]「地域包括ケアシステム」と認知症ケアのあり方について

イギリスに見る新しい認知症ケアのあり方 我が国の介護業界は今年6 月に成立した「医療介護総合確保促進法」によって、今や医療と介護が一体化した「地域包括ケア」の時代に入ったと言ってよいであろう。ゴールドプラン以後の2003 年に設けられた元老健局長の私的研究会である高齢者介護研究会(座長・堀田力氏)以来、団塊世代の要介護問題を扱った「2025 年問題」をテーマとした地域包括ケア研究会(座長・田中滋氏)や足かけ10 年以上(いやそれ以上かも知れない)もかけた宮島俊彦元老健局長(参照:今号4頁)ら歴代の老健局関係者の努力によって法案が実現化した。

[新医療通信]早期診断・早期対応を実現する在宅療養支援診療所の取り組み

医療法人社団つくし会 新田國夫 理事長 オレンジプランの目玉の1つである「認知症医療支援診療所」のモデル事業が今年3月まで全国9か所で実施され、東京都では国立市と医療法人社団つくし会の新田クリニックがこれに参加した。国立市と新田クリニックは昨年4月に「認知症対応チーム」を立ち上げるなど、これまで密接に連携してきた。理事長の新田國夫氏にその取り組みを聞いた。

[経営課題]現場発 施設長の声 若い力が輝く社会保障制度改革でなければ国が亡びる

特別養護老人ホーム緑風園 総合施設長 菊地雅洋 介護福祉士資格の実務経験ルート変更と社会福祉法人に対する的外れの批判 ― 
僕の次男は地元の一般企業に勤めているが、彼が専門学校を卒業して就職した年に、彼の高校時代の同級生で、一緒にバンドを組んでいた仲の良い友人が、高校卒業後に就職した会社を退職し、職探しをしているという相談を受けた。ちょうど当施設で、介護職員の契約職員を募集していた時期で、相談内容とは、介護の経験が全くないその友人が、就職試験を受けられないかということであった。

[経営課題]シリーズ・介護の扉 多様化する介護に制度は追いつけるのか

高齢化は血縁をも疎遠にする。中距離の老老介護が始まったケースで医療の実際と介護職の“踏ん張り”が見えた。 10月半ばのこと。76歳を迎えた山口さん(仮名)の携帯が鳴った。「○○クリニックです!」大声が響く。「○○クリニック?」。聞いたことがない医院名。藪から棒の名乗りに山口さんは不審を抱く。「野口さん(仮名)を至急、どこかの施設に入所させてください!」。野口さんは山口さんの実姉(79歳)だ。「どういうことでしょうか」。興奮した医師がわめく内容は「有料老人ホームならいいかもしれない」。「年金収入はどれくらいあるのか」。「家を売ればいいのではないか。築浅ならそこそこで売れるだろう」云々。その口調はクリニックを名乗る不動産屋か詐欺師そのものだ。医師だというが、会話は全く要領を得ない。それにしても、唐突な電話である。本当の医師なのかすら怪しい。

[経営課題]弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.18 おかげさまです、外岡です!

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤 こんにちは、弁護士の外岡です。自分は趣味で手品や日舞をしますが、この間は久々に施設でボランティアショーをしてきました。 良い運動にも、気分転換にもなりいいですね。前回は「看取り」という重いテーマでしたが、今回は目先を変えて「福祉用具」の世界を見てみましょう。

[経営課題]シリーズ・発掘 介護チャレンジャーを探せ!!Vol.18

あきらめない排泄ケアの実践 「宅老所サンセル」「デイサービス和ごころ」(沖縄県与那原町)では、入居者の排泄ケアに力を入れている。「宅老所サンセル」は文字通り居住のサービスを提供しており、「デイサービス和ごころ」では介護保険による通所介護事業を行っている。代表者の1人である町田礼子さんは元看護師。高齢者の自立は排泄と密接な関係があると考え取り組んできた。

[連載]シリーズ・施設探訪 デイサービス・ラスベガス足立店(東京都足立区)

本格的なカジノゲームを楽しむ高齢者が行きたいデイサービス カジノ設備を導入した「デイサービス・ラスベガス」では、介護施設とは不釣り合いに見えるバカラやブラックジャックを利用者が楽しむ。その開設の経緯と今後の展開について、代表取締役社長の森薫氏に聞いた。 ― 
日本エルダリーケアサービスが運営する「デイサービス・ラスベガス」は、バカラやブラックジャックといった本格的なカジノゲームが楽しめるデイサービスとして注目されている。第1号店の足立店は、定員10人の小規模型として昨年12月にオープンし、約半年で満員。今後は看護師を配置し、定員15人の通常規模型へと移行する予定だ。

[連載]第 1 回 「プラネット」誕生 福祉用具プランナー研究ネットワーク代表 廣瀬英紀 氏 インタビュー

福祉用具プランナーの横断的組織、「プラネット」(通称)が誕生しました。 増加する一方の高齢者や障碍者などの要介護者。その一方で、肝心かなめの人的支援でありマンパワーである介護者の不足は、特に大都会になればなる程、顕著で年々深刻化しており、すでにその限界を超えているのが現状である。このため、ロボットなど福祉用具の重要性や必要性は、ますます社会から注目されている。10月4日に、新しく誕生したこの介護業界初の横断的組織、福祉用具プランナー研究ネットワーク「プラネット(通称)」は、全国各地の福祉用具プランナー管理指導者のまだ若い第1期生や2期生が中心となって立ち上げたものである。介護保険制度が始まって約14年。我が国の介護業界はそろそろ若い世代が中心となりつつあるが、この福祉用具の業界も同様であり、数年前から廣瀬代表達の呼びかけで福祉用具専門相談員ら現場従事者が集まって合宿形式のミニ研究会を年1 回開催していたのが背景にある。テクノエイド協会の支援を得て、この程、「プラネット」として正式に発足したものである。

[連載]シリーズ・介護施設のための健康講座

サーズウイルスに似た流行パターンを示すH7N9型インフルエンザ 今年の冬、高齢者を中心として流行が予測されるH7N9型インフルエンザは、世界的に感染が拡大する危険性を秘めている。長年、WHOの新型インフルエンザ特別調査チームに参加している研究者の一人は次のように語る。「今回のH7N9型インフルエンザに関しては、今年の3月27日現在、中国、台湾、香港、マレーシアから400 例にも及ぶ感染事例が報告され、その内既に122例が死亡しています。

その他コンテンツ

[コラム]仙台から「地域」を考える 利用者と向き合い、住民の福祉力をつける“ 架け橋”になる。
[コラム]連載第31回 聖隷福祉事業団に学べ
[コラム]《老人たちの居場所》幾つになっても「友達なんかいらん」という人はいるもんだ
[World News]オランダの新しい介護事情を探る 第12回
[World News]イギリスのホームドクター、認知症ケア、ホスピスの実情を探る 第5回
税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判60ページ
発行日 2014年11月15日

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